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カテゴリー「ノンフィクション」の記事一覧

【書籍】「オウム死刑囚 魂の遍歴――井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり」 門田隆将 (著)  

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出版社: PHP研究所 (2018/12/13)



■ 著者について
 著者・門田隆将(かどたりゅうしょう)氏は、1958年生まれのジャーナリスト、ノンフィクション作家。大学卒業後に新潮社に入社し、「週刊新潮」へ配属され様々な記事を投稿。その後に、記者の傍ら執筆したノンフィクション作品が賞を受賞し、TVドラマ化されるなど注目されたのを契機に退社し、フリーの作家となっている。
最近の主な著書に福島第一原子力発電所事故を取材し、吉田所長に関する著書『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(2012年)など多数の著述がある。

■ 本書を読むきっかけ
 周知のように7月にオウム真理教死刑囚13名の死刑が執行されている。本書に書かれている井上嘉浩死刑囚も麻原彰晃死刑囚と同じ7月6日に死刑執行された。1995年5月の逮捕から23年後に生涯を閉じたわけであるが、私自身は死刑執行当時にこの井上死刑囚だけを特別に思う気持ちはなかった。あれだけ多数の犠牲者が出た事件であり、最高裁で死刑が確定している刑が執行されたという感慨しかなかった。ただ、今回、本書が出版されるということを知り、どういうわけか無性に読んでみたくなり早速購入し、先日読み終わった。

■ 死刑囚に関するノンフィクション
 著者はオウム真理教による各種の事件発生時は新潮社に勤務しており、「週刊新潮」に記事を掲載するなどして継続して追いかけていたようだ。逮捕後は、本人との面会や、家族との面会を通じて真相を究明し続け、父親から託された井上死刑囚の手記をもとに今回の著書執筆に至った。
 内容は、井上死刑囚がオウム真理教に入信するに至った経緯から、疑惑を抱きながらも教祖の命令に従わざるを得なかった様子、また逮捕後に脱会し、自ら他の信者の裁判の証人として出廷し真実を明らかにしていく姿勢などの井上死刑囚に関する内容、そして一審では無期懲役と審判されながら、二審、最高裁で死刑の判決に至ったこと、また終盤には最高裁確定後に新たな証拠が発見されたことによる再審請求が審理され始めたばかりでありながら死刑執行に至った日本における司法制度に関する言及などが語られている。

 読む前に想像していたのは、テロ行為ともいえる国家転覆を狙った信仰集団の暴走を客観的に一人の信者を通じて明らかにし、そこに至る経緯、死刑執行後の現時点における検証を期待して読んだのだが、やや期待外れに感じた。
 というのも、確かに教祖に欺かれたという井上死刑囚自身の弁明もあるが、結果として多くの犠牲者を出した首謀者の一人であることには変わりはない。
 井上死刑囚の父親が常に犠牲者のことを考えて行動する姿が描かれてはいるが、犠牲となった方の家族が読むことを想像すると、彼らには受け入れられない内容のような気がするのは私の穿った見方であろうか。

(2018.12.28)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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 ☆ 購入日 2018年12月15日(土)
 ☆ 価格  1,944円
 ☆ 読了日 2018年12月22日(日)




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【Kindle】「宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年」 原 雄一 (著)  

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出版社:講談社(2018/3/28)



本書をKindleで購入した4月22日の日経新聞朝刊の「春秋」欄に次のようなコラムが掲載された。

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新聞広告を読んで本書を購入した興味をこのコラム氏も同じように感じていたのだろう。

1995年3月の国松長官狙撃事件については、当時の世相が「オウム真理教」一色出会ったところへ警察組織のトップを襲撃するというショッキングな事件の発生で、平和な国のイメージが損なわれてしまうのではないかという懸念さえ生まれていた。

そのため、警察組織もその威信をかけて事件の解決に動いていたはずである。結果的にはオウム真理教に対しては未然に防ぐことができずに「地下鉄サリン事件」まで許してしまった。ましてその直後に発生した自組織のトップを狙撃した犯人検挙には必死になっていたものと思っていたが、本書を読む限り、それよりも優先された組織内の事情があったように感じる。
このような組織に日本の治安を任せ切って良いのだろうかと不安にも感じた。

本書以前にも長官狙撃事件を扱った著書は数冊あるが、本書はまさにこの事件を追いかけてきた刑事が執筆したものとして注目に値する。
本書が警察関係者にどのように受け止めらるのだろうか。すでに承知している事実として捉えられるようであれば、我々国民は何を頼りにすれば良いのかと訝しんでしまう。そんな印象を持たされる一冊であった。


【内容紹介】

警視庁捜査第一課伝説の刑事・原雄一氏による待望の手記。
1995年3月30日朝、東京・荒川区において、國松孝次警察庁長官が何者かに狙撃された。警視庁は、当時の社会情勢等から、オウム真理教団による組織的テロと見て、警察の威信をかけた大捜査を展開、2004年に至り、オウム真理教関係者の逮捕にこぎつける。しかし、被疑者らが起訴されることはなく捜査は迷走し、2010年3月、多くの謎を残したまま事件は時効を迎えてしまった。
実は、この捜査の陰で、濃厚な容疑を持つ人物が浮上していた。その人物は民兵組織の結成を目指した「中村泰」。中村の内偵を進めた原氏は、徹底抗戦する中村の取調べを継続し、ついに中村から、警察庁長官を狙撃した自供を引き出す。そして、その供述は、現場の状況に合致して迫真に富み、犯人しか知り得ない内容に満ちていた。原氏が率いる捜査班は、幾多の困難を克服しながら中村の捜査を推し進め、多くの証拠を蓄積していくが、中村が立件されることはなかった。
なぜ、中村の捜査は封印されたのか。警視庁幹部、警察組織、現場捜査員、被疑者、社会情勢等、様々な「宿命」が絡み合い、葬り去られた事件の真相に迫る。


(2018.04.29)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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【書籍】「友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」」 山中 伸弥 (著), 平尾 誠二・惠子 (著)  

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出版社:講談社 (2017/10/4)



いま話題の一冊を読んだ。

二人は1962年度生まれの同級生(平尾氏は1963年1月生まれ)であり、同じ関西出身である。

その二人であるが、2010年10月に雑誌の対談をするまでは出会うことはなかった。ただ、山中氏は高校当時から京都伏見工業高校ラグビー部主将として有名だった平尾氏のことは知っていたとのことである。

その二人が2010年10月に「週刊現代」掲載の対談で出会う。初対面である。

山中氏はその頃多忙で雑誌の取材などにはことごとく断っていたそうであるが、その時だけは対談相手が平尾氏だったことからご自身から率先して望んだようである。

本書は、講談社編集部が、山中氏、平尾氏夫人にインタビューした内容を、第1章、第2章としている。本人が語っている内容になっている。

夫人によると、平尾氏が初対面であった相手とその後も付き合うというのは稀なことらしい。そのため最初の対談の後に、山中氏から食事の誘いがあった時の平尾氏の喜びような大変なものだったと語っている。

そこから始まった交流は、夫人や娘も一緒になった家族での食事会などにも発展し、双方の家族にとってなくてはならない存在となっていった。

そのような中、2015年9月に平尾氏の癌が発覚する。発見された時点で進行しており年を越せるかどうかと診断されていた。その後、山中氏の献身的なフォローなどがあり、治験、抗癌剤治療などにより一時は家族でクルーズ船の旅行を計画するまでになったようであるが、残念ながら2016年10月帰らぬ人となる。

私自身は彼らよりも少し年齢が上ではあるが、40代後半で出会った相手とここまで交流が深くなるということは経験もないし、想像できないことである。それだけ引き合うものがあったのだろうと思う。

その点は第3章の対談を読むとよくわかる。実にお互いの気持ちが一致している。これほどまでに深く自分が関わる将来のことを考えている交流が途絶えてしまったことはとても残念である。

対談最終話などは、日本の政治を含めた将来のことをもうかがわせる内容である。
実に惜しい人を亡くしたと改めて思った。

合掌。

(2017.10.20)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★★
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【書籍】「石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの」 清武 英利 (著)  

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出版社:講談社 (2017/7/26)



新聞広告をみて、是非とも読みたいと購入。Kindle版もあったが、今回はメルカリで購入。

著者である清武氏の作品は「しんがり」に続いて2冊目。読売ジャイアンツのオーナー解任などで騒がれた人がなぜ普通のノンフィクションを出版しているのだろうと不思議な思いで読んだ記憶がある。
何のことはない、もともと新聞記者だったわけで、ルポについてはプロだったのですね。

今回は、2001年に発覚した「外務省機密費流用事件」を扱っている。警視庁の警部がとある情報から事件の端緒を知り、最初は贈収賄事件として追いかけていたが、実態はとんでもない流用だった。

この事件をきっかけに内閣官房の機密費が明らかになり、その後、2010年には野中広務元官房長官がメディアの取材で具体的な話をしているが、税金を払っている一般国民としてはどこまで政府を信じるべきか悩むところだろう。
まぁそういうことは別にしても清武氏の本書は実に微に入り細に入り取材を徹底していて読み応えがある。ほぼ全ての登場人物が実名とのことで、出版に当たって軋轢がなかったのだろうかと考えたが、今の日本はこのような出版物に関して寛容なのだろうか。

何れにしても引き込まれる内容であった。

 参考サイト 

外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/0101chosa.html



(2017.09.23)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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【書籍】 「小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの」 森 健 (著)  

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約1年前に図書館にリクエストしていた本が手元に届いたのが今月上旬。随分大勢の方が借りていたのだと思いつつ受け取ってきたのだが、なかなか読み進めることができなかった。

それは、本書も小倉昌男という偉大な経営者の評伝なのだろうという先入観があったからである。

小倉昌男氏といえば、宅急便の生みの親であり、ヤマト運輸をここまで大きくしてきた経営者である。 私自身はそれほど意識はしていないが我が社にとっての最大のライバル会社と言いつつ、ライバルと呼べないほど大きく取り扱いを引き離されてしまった物流会社の経営者である。

その小倉氏の著書「経営学」はかなり前に読んでいるが、やはりそこに我々の力ではとても及ばないような経営の考え方が書かれていた。

そんなことを本書にも当てはめてしまっていた。そのために借りてはきたものの、そのまま放置してしまった所以だと思っている。 しかし、読んでみると、内容はビジネス書とは全く違い、小倉昌男氏のビジネスの裏側にある人間として生き様を描いたものであった。

著者は、小倉昌男氏という人物について3つの疑問を持ったところから本書執筆に至ったと書いている。 それは、
 - 退任後、なぜ彼はほとんどの私財を投じて福祉の世界へ入ったのか
 - 小倉の人物評への疑問。外部からの人物評と小倉の自分自身への評価の間には小さなギャップがあった。
 - 最晩年の行動。亡くなったのはなぜアメリカだったのか。
 という疑問である。

そこから本書が生まれ、2015年の小学館ノンフィクション賞を受賞し、出版に至ったわけである。

本書を読み終え、私自身も意外な印象を受けた。しかし、もしかするとこのような背景があるからこそ自身の経営に対する覚悟もあったのかもしれないとも思った。

退職して、これまでの職務から離れてみると、このような生き方を参考にしていかなければいけないとつくづく思う。

改めてキンドル版を購入して読み直したいと思っているところである。 

(2017.07.01)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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