FC2ブログ
「自分を磨こう!」My favorite books ホーム »小説(単行本)
 
カテゴリー「小説(単行本)」の記事一覧

【書籍】「終の盟約」 楡 周平 (著)  

845



出版社: 集英社 (2020/2/5)



 新聞に掲載された広告を見て読みたくなったのだが新刊で2,200円と価格がネックで少し考えていたところメルカリに出品されているのを発見。本の厚さが3センチ以上あるからと出品者が値下げを躊躇していたので、見開きのまま送って構わないとのコメントを載せ、1,300円で購入。 4月29日から読み始め、その後の連休で一気に読み、昨日5月4日、読了。

 主人公は、内科医である兄の藤枝輝彦と弁護士の弟の真也の二人の兄弟。ただセクションによっては別の人物が一人称として登場することもあるので、純粋に言えば完全な主人公とは言えないが中心人物はこの二人兄弟とその父親をめぐる物語。
 二人兄弟の両親は兄輝彦と二世帯住宅で同居しているが、母は3年前に亡くなり、父の久だけが同居している。同居しているとはいえ完全分離の二世帯住宅で、母が亡くなって以降は1日に二度の食事だけを兄輝彦の妻である慶子が面倒を見て、一緒に食事をしている。父の久も医者でクリニックを開業していたが、連れ合いを亡くして以降、クリニックを閉め、家に籠るようになっていた。
 そんなある日、慶子がシャワーを浴びているとドアの向こう側に人の気配を感じる、開けてみるとそこには義父が立っていた。そしてその目つきは以前の義父とは全く違っていて、様子も違っていた。そして夫である輝彦が気が付き、父の書斎に行ってみると父は無心にキャンバスに向かっていたが、その後ろ姿には狂気を感じる・・・

 人間にとって死は必ず訪れるものである。しかし死がいつか訪れるものと言っても、死に至る過程は病死、事故死、など千差万別であり、いつ訪れるかは誰にもわからない。そのために人は死を恐れることとなり、できるならば意識の外に置いておきたいと思うものである。
 本書のテーマは安楽死、尊厳死であるが、その背景に認知症で自身の行動が意識の範囲外になった場合を想定して書かれている。
 認知症となった自身を想像すると恐ろしくなる。できれば避けたいものであるが自身の健康であればいつ害されるのか、全く予想されないものだ。その時にどうするか、現状の中ではどうしようもないのだが、そこに一石を投じたのが本書である。叶わないこととは思いながら、できることならこのような選択をしたいものだと読み終わって改めて考えさせられた。

(2020.05.06)

-----------------------------------
 おすすめ度 ★★★★★  
 読みやすさ ★★★★★
-----------------------------------


☆ 購入日 2020年04月29日(水)
☆ 価格  2,200円(Kindle版 1,980円)
☆ 読了日 2020年05月04日(月)



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

終の盟約 [ 楡 周平 ]
価格:2200円(税込、送料無料) (2020/5/5時点)




内容(「BOOK」データベースより)

認知症の父の突然死。ある晩、内科医の輝彦は、妻・慶子の絶叫で跳ね起きた。父の久が慶子の入浴を覗いていたというのだ。久の部屋へ行くと、妻に似た裸婦と男女の性交が描かれたカンバスで埋め尽くされていた。久が認知症だと確信した輝彦は、久が残した事前指示書「認知症になったら専門の病院に入院させる。延命治療の類も一切拒否する」に従い、久の旧友が経営する病院に入院させることに。弁護士をしている弟の真也にも、事前指示書の存在を伝えた。父の長い介護生活を覚悟した輝彦だったが、ほどなくして久は突然死する。死因は心不全。しかし、あまりに急な久の死に、疑惑を抱く者もいて―。医師の兄と、弁護士の弟は、真相にたどり着けるのか。



category: 小説(単行本)

thread: 読んだ本

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

【書籍】「背高泡立草【第162回 芥川賞受賞作】」 古川 真人 (著)  

840

_convert_20200227081138.jpg

出版社: 集英社 (2020/1/24)



 1月に発表された第162回芥川賞受賞作、恒例により雑誌「文藝春秋」3月号に掲載されたものを読んだ。

  ここ数年芥川受賞作は書籍を買わずに文春の掲載号で読んでいるが、そうしてからと言うわけではないのだが、面白くない作品が多いような気がする。
 今回の受賞作も同様の印象で、読了後、何故、この作品が芥川賞受賞作品なのだろうと思ってしまった。

 物語は、九州の島嶼を舞台にして三代の家族が実家で使わなくなっている納屋の草刈りをする日常を描いてその間に交わされる会話などを中心とした物語が中心となっているのだが、その各章の間に全く別の物語が挟まれている。途中に挟まれる物語も読んでいくと同じ島嶼を舞台にしているようなので、この土地を舞台にして時の流れの中の人間模様を描こうとしているだろう。
 ところがその挟まれる物語も唐突であり、よく注意して読んでいないと誰のことなのか、どこの話なのか分からなくなってしまう。また土地の方言を使っていることからも読みづらい面がある。私自身の読み方の問題なのだろうと思いながら読み終わった。
 ただ、読み終わってから今回の選考委員の選評を読んだのだが、はっきりとこの作品を推している選者は見つからなかった。むしろ「該当作なし」とすることに躊躇するところから最終的に選ばれたと言う印象を持った。さもありなん。そう言うことかと合点が行った次第。

 過去との比較はできないかもしれないが、私のか過去の印象は、芥川賞と言えば、村上龍の「限りなく透明なブルー」を例に上げるまでもなく、全くの新人が衝撃的なデビューをするイメージが強かった。その後も様々な受賞者が輩出されたが、処女作で受賞している作家はその後に活躍していることが多いように思う。
 確かに新人発掘の賞ということで、当該作家の過去の候補作を受賞作と引き合わせて選評することも必要かもしれないが、我々一般読者はたいていの場合、その作家の過去の候補作は読んでいないことの方が多く、受賞作を楽しみに読むのではないだろうか。その点、最近の受賞作では又吉直樹氏の「火花」は鮮烈だったかもしれない。

 いずれにしても書籍を購入して読もうと思わなくなってしまった芥川賞受賞作。今後も文藝春秋で読み、良い作品と出会えたら応援していくために書籍を買う、こんなスタンスで眺めていきたい。

(2020.02.27)

-----------------------------------
 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
-----------------------------------


☆ 購入日 2020年02月18日(火)
☆ 価格  1,540円(Kindle版 1,540円)
☆ 読了日 2020年02月25日(火)



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

背高泡立草 [ 古川 真人 ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2020/2/27時点)





内容紹介
【第162回 芥川賞受賞作】

草は刈らねばならない。そこに埋もれているのは、納屋だけではないから。
記憶と歴史が結びついた、著者新境地。

大村奈美は、母の実家・吉川家の納屋の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに福岡から長崎の島に向かう。吉川家には<古か家>と<新しい方の家>があるが、祖母が亡くなり、いずれも空き家になっていた。奈美は二つの家に関して、伯父や祖母の姉に話を聞く。吉川家は<新しい方の家>が建っている場所で戦前は酒屋をしていたが、戦中に統制が厳しくなって廃業し、満州に行く同じ集落の者から家を買って移り住んだという。それが<古か家>だった。島にはいつの時代も、海の向こうに出ていく者や、海からやってくる者があった。江戸時代には捕鯨が盛んで蝦夷でも漁をした者がおり、戦後には故郷の朝鮮に帰ろうとして船が難破し島の漁師に救助された人々がいた。時代が下って、カヌーに乗って鹿児島からやってきたという少年が現れたこともあった。草に埋もれた納屋を見ながら奈美は、吉川の者たちと二つの家に流れた時間、これから流れるだろう時間を思うのだった。


category: 小説(単行本)

thread: 読書メモ

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

【書籍】「人間」 又吉 直樹 (著)  

830


出版社: 毎日新聞出版 (2019/10/10)



 よく知られているお笑いタレント、お笑いコンビ「ピース」のボケ役である。その一方、2015年に書いた小説「火花」で芥川賞を受賞したことでその文学的才能にも注目を浴びるようになった。その後、テレビ番組でも文学的な対象として出演することが多くなり、太宰治のファンであることからその種の関連番組に出演している筆者を見ることも度々あった。
  2年後に受賞後の1作目である「劇場」を出版。そして今回の「人間」。この「人間」は、毎日新聞朝刊に2018年9月から連載された小説を2019年10月に単行本として出版されたもので、著者にとっては初の連載、そして初の長編小説である。

  芥川賞受賞作の「火花」は、月刊誌「文藝春秋」で読み、若者の不安定な気持ちをよく表している小説として確かに手応えの得られる作品だと感じた。しかし、2作目の「劇場」は私自身は読んでいない。何故読まなかったのだろう。やはり年齢的なギャップだろうか。

 そして今回の長編小説、それも新聞連載小説である。著者自身が自身初の長編で、代表作になるとインタビューで語っているのを聞き、読んでみようと思ったもの。
 インタビュー記事によると、以前の2作品は自身の経験を踏まえているとはいえ、過去の若い時期を描いていたが、今回の「人間」は自身の同時代を描いたと話していた。38歳の自信を描いた作品とのことである。

 内容的には3部に分かれており、第1部から第2部までは38歳の主人公が現代に至るまでを描き、第3部で過去を振り返りながら現代の自分自身のことを確かめる構成となっている。このような解説を書いたのでは表面的過ぎて作品を台なしにしてしまう感もあるが、私は読んでみて著者の深い思いを感じることはできなかった。
 確かに人間は10年経てば随分と変わっていくだろう。特に30代までの人生は環境も含めて変化が多い時期であろう。そのような時期に生きる主人公を描いた作品ではあるが、もっと凝縮して短編として書かれてもその深みは伝わるように感じた。
 もちろん自分でそのような作品を書けるわけではないので、著者の才能は感じるものの、60代を生きる私にとってちょっと読むには無理のある作品だったな。

(2019.12.17)

-----------------------------------
 おすすめ度 ★★★☆☆  
 読みやすさ ★★★★☆
-----------------------------------


☆ 購入日 2019年10月26日(土)
☆ 価格  1,540円
☆ 読了日 2019年11月04日(月)



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

人間 [ 又吉直樹 ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2019/12/17時点)


category: 小説(単行本)

thread: 読書メモ

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

【書籍】「さよならの儀式」 宮部みゆき (著)  

811



出版社: 河出書房新社 (2019/7/10)



 新聞の下段広告で見て、購入したもの。著者の本は、読みたいものと敬遠してしまうものと二つに分かれる。読みたくなるのは推理もの、敬遠してしまうのは時代物と分かれる。ただ、唯一例外だったのが、一昨年によんだ「この世の春」である。それ以外は最近では杉村三郎シリーズの推理物、推理小説といえるか分からないが「小暮写真館」も印象的だった。宮部みゆきファンには、偏った読者と言われるかもしれぬが、自分の好みの小説を読むという意味ではあまり無駄をしたくない結果である。

 さて、本書であるが推理小説でも時代小説でもない。今回はSF小説である。SFといば星新一や筒井康隆などを思い浮かべてしまう高校生時代からのファンではあるが、宮部みゆき氏がSFを描くとは思ってもみなかった。

 解説を読むとそれなりに書いていたようで、今回は雑誌の刊行をきっかけに本格的に描いた短編を集めたものということであり、8編の短編が掲載されている。8編のなかでは「わたしとワタシ」、そして表題作となっている「さよならの儀式」が面白く読めた。
 ただ、私が期待する宮部みゆき作品とは言えない作品集だなというのが率直な印象である。これはあくまでも個人の好みなので作品を理解していない読者の感想と理解していただきたい。
 やはり本格的な推理小説、社会派小説をまた読みたいと思ったのが読後感である。


<収録作品(全8編)>

「母の法律」
虐待を受ける子供とその親を救済する奇蹟の法律「マザー法」。でも、救いきれないものはある。

「戦闘員」
孤独な老人の日常に迫る侵略者の影。覚醒の時が来た。

「わたしとワタシ」
45歳のわたしの前に、中学生のワタシが現れた。「やっぱり、タイムスリップしちゃってる! 」

「さよならの儀式」
長年一緒に暮らしてきたロボットと若い娘の、最後の挨拶。

「星に願いを」
妹が体調を崩したのも、駅の無差別殺傷事件も、みんな「おともだち」のせい?

「聖痕」
調査事務所を訪れた依頼人の話によれば----ネット上で元〈少年A〉は、人間を超えた存在になっていた。

「海神の裔」
明治日本の小さな漁村に、海の向こうから「屍者」のトムさんがやってきた。

「保安官の明日」
パトロール中、保安官の無線が鳴った。「誘拐事件発生です」なぜいつも道を間違ってしまうのか……


(2019.08.27)

-----------------------------------
 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
-----------------------------------


☆ 購入日 2019年08月03日(土)
☆ 価格  1,728円
☆ 読了日 2019年08月14日(水)




「内容紹介」はこちら ⇩ トップページの場合は「続きを読む」をクリックしてください


-- 続きを読む --

category: 小説(単行本)

thread: 読んだ本

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

【書籍】「ノーサイド・ゲーム」 池井戸 潤 (著)  

807


出版社: ダイヤモンド社 (2019/6/13)



 5月に池井戸潤氏の新作として本書が出版されることを知り、直ちにAmazonに予約を入れた。そして6月中旬の発売と同時に到着はしたのだが、その時に東野圭吾氏の新作を読んでいる途中だったため、息子にいったん貸出し、戻ってきた先月、発売から1か月遅れでの読書となった。

 テレビドラマも放映されることを承知していたので、できれば放映が始まる前に読み終えたいと思っていたが、少々間に合わなかった。7月7日に始まったドラマとは、第1話、第2話が同時進行、7月21日は参議院選挙のため休止であり、同時進行は2話までとなった。その後は読み終わった内容を思い出しながらドラマを見ているが、小説とは異なっている部分もあり、それはそれで面白い。

 さて、小説の感想だが、やはり池井戸作品は面白い。スポーツを題材にしたものとしては、社会人野球の「ルーズベルトゲーム」、実業団陸上の「陸王」があり、どちらもTBS日曜劇場でドラマ化されたもの。今回も同様であるが、いずれも高視聴率のようである。 今回はラグビーを題材にしているが、9月から始まるワールドカップとの相乗効果もあり同様に話題となっている。ラグビー自体は一般の人にとっては馴染みの薄いスポーツではないかと思う。そのラグビーを題材に敢えて選び、読者にわかりやすくするために主人公のGMをラグビーの素人にしたのではないだろうか。

 池井戸作品はある意味「勧善懲悪」的な面があり、読み終わって痛快感を覚える。このことが人気の要因だろう。今回も実に痛快。途中はハラハラするが、最後は安心して読み終えることができた。実に痛快。

(2019.07.26)

-----------------------------------
 おすすめ度 ★★★★★  
 読みやすさ ★★★★★
-----------------------------------


☆ 購入日 2019年06月13日(木)
☆ 価格  1,728円
☆ 読了日 2019年07月22日(月)




「内容」はこちら ⇩ トップページの場合は「続きを読む」をクリックしてください


-- 続きを読む --

category: 小説(単行本)

thread: 読んだ本

janre: 本・雑誌

tag: 池井戸潤 
tb: 0   cm: 0

プロフィール

最新コメント

最新トラックバック

カテゴリ

▲ Pagetop