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カテゴリー「ミステリー(単行本)」の記事一覧

【書籍】「背中の蜘蛛(単行本)」 誉田 哲也 (著)  

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出版社: 双葉社 (2019/10/16)



 本書の著者の作品を読むのは初めてである。以前から名前はよく目にしており、刑事を主人公にした警察小説が多いという印象があったが、著者の作品としてはそれだけではなく青春小説なども発表されているとのこと。
今回初めて読んだ本作品は警察小説である。10月発売の本作品の新聞広告には「読後、あたなたはもうこれまでの日常に戻れない」とあり、書籍の帯にも同じキャッチフレーズが目立っていた。そのフレーズに惹かれてメルカリで購入して読んだ。

 池袋での一人の男性が路上で他殺死体で発見されるという殺人事件が発生する。しかし目撃者はなく、捜査は難航する。ところがある捜査員に秘密裏に寄せられた情報により容疑者が浮かび上がる。その半年後、新木場でイベント会場のコインロッカーに仕掛けれた爆発物により、一人の男性が死亡する。その男性は薬物の取引仲介者として警察で追いかけていた人物であり、誰がその爆発物を仕掛けたのか、操作が難航するなか、捜査員の一人にある情報が寄せられ、事件は意外な方向へ展開していく。

 本書のストーリー自体はあらすじで書いたとおりであるが、本書の本筋はそのストーリーではなく、秘密裏に寄せられた情報の出所にある。この情報がどこから、そしてどのような経緯で伝えられたのか、そしてそれは組織的なものなのか、そこを追いかけていいく後半が読み応えがあった。

 最近は街中の事件であっても防犯カメラの映像から容疑者を特定したというニュースをよく聞く。数年前には現実的ではなかったことが、現代のAIの発達により現実となっている。このような情報社会の現代にあって我々はどこまでそれを許容できるのだろうか。というよりも許容するしないに関わらず、容認せざるを得ないのかもしれない。それが自分自身を守ってくれる手段となっている社会に生きているのかもしれない。

(2019.12.28)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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☆ 購入日 2019年11月19日(火)
☆ 価格  1,760円(Kindle版 1,584円)
☆ 読了日 2019年11月30日(土)



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背中の蜘蛛 [ 誉田哲也 ]
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内容(「BOOK」データベースより)

 東京・池袋で男の刺殺体が発見された。捜査にあたる警視庁池袋署刑事課長の本宮はある日、捜査一課長から「あること」に端を発した捜査を頼まれる。それから約半年後―。東京・新木場で爆殺傷事件が発生。再び「あること」により容疑者が浮かぶが、捜査に携わる警視庁組織犯罪対策部の植木は、その唐突な容疑者の浮上に違和感を抱く。そしてもう一人、植木と同じように腑に落ちない思いを抱える警察官がいた。捜査一課の管理官になった本宮だった…。「あること」とは何なのか?池袋と新木場。二つの事件の真相を解き明かすとともに、今、この時代の警察捜査を濃密に描いた驚愕の警察小説。


category: ミステリー(単行本)

thread: 読書メモ

janre: 本・雑誌

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【書籍】「沈黙法廷 (単行本)」 佐々木 譲 (著)  

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出版社: 新潮社 (2016/11/22)



 2016年11月に発売された単行本は、価格も2,310円、ページ数も557ページという大作である。
 よほど著者のファンでなければ発売当時に買おうという気にはならないのではないか、と書いたら失礼か。今回は10月に新潮社から文庫版が発売され、新聞に広告が掲載されたことから興味を持ち、メルカリで検索したところ手頃な価格で販売されていたので購入したもの。しかし送り主もメルカリベテランなのか、そのままの形で郵送すると厚さが3センチを超えてしまうので見開きにしてクリックポストで送付してきた。

 それほどのページ数なので読むのに日数がかかった。推理小説などの小説は、夜寝る前の読書として読んでいるが、今回は広島へ旅行した往復の新幹線の中で読み、ページ数を稼ぐことができた。

 本書の著者の作品を読んだのは確か初めてだと思う。警察小説作家として著名であり、本書もいわばその範疇なのだろうが、弁護士の立場、検察側の立場、また被告の女性を慕う男性の立場など、様々な視点から一人の不遇な女性に焦点を当てている。

 ストーリーに緊張感もあり、被害者の女性の謎めいた生い立ちや、序章に出てくる男性の目線も気になり、途切れることなくこのボリューム感にしては短期間で読み終わった。長編のミステリーを読み終わった満足感はあるが、作品に対する期待ほどの満足感は得られなかったように思う。

(2019.12.12)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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☆ 購入日 2019年11月07日(木)
☆ 価格  2,310円(文庫版 1,155円)

☆ 読了日 2019年11月19日(火)



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

沈黙法廷 (新潮文庫) [ 佐々木 譲 ]
価格:1155円(税込、送料無料) (2019/12/22時点)



【内容紹介】

 周囲で連続する不審死。被告人の女性は証言台で突然口を閉ざした。
 警察小説と法廷小説が融合した傑作。絞殺死体で発見されたひとり暮らしの初老男性。
 捜査線上に家事代行業の女性が浮上した。
 彼女の周辺では他にも複数の男性の不審死が報じられ、ワイドショーは「またも婚活殺人か?」と騒ぐ。公判で無実を訴える彼女は、しかし証言台で突如、黙秘に転じた。彼女は何を守ろうとしたのか。警察小説の雄が挑む新機軸の長編ミステリー。





category: ミステリー(単行本)

thread: 読書メモ

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【書籍】「不審者」 伊岡 瞬 (著)  

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不審者

出版社: 集英社 (2019/9/26)




「悪寒」を読み終わってこの著者の作品をもう一冊読んでみようと思っていたところちょうど新刊が発売されていた。キャッチコピーを読むと「『代償』の著者が贈る、渾身のサスペンス&ミステリ」とある。「悪寒」を よんだだけなので「代償」は未読だが、ひとまず新刊の「渾身」の作品を読んでみることにした。

主人公は女性である。会社員の夫と5歳の息子と、夫の母親との4人で暮している。自身は主婦業のかたわらフリーで校閲の仕事をしている。校閲の仕事は しゅじんこうじしんが高校卒業後に専門学校で身につけ、卒業後に就職したときからの仕事である。結婚を機に退職して専業主婦となったが、子育ての手が離れ始めるのを機会にフリーとして再開し始め、仕事も大事にしながら堅実に主婦をしている、というのが前半である。
ただ、プロローグでこの夫婦の子供の生まれて間もない頃のことが短く書かれているのだが、この伏線は後半で明らかになる。
そんな家族のもとにある日、行方不明になっていたという夫の兄が訪れる。主人公にとっては会ったこともない義兄だけに不審に思うが、信頼している夫が連れてきているのだからと不本意ながら受け入れ、仕方なく自宅に居候もさせることになる。そしてその頃から主人公の周囲に不審な出来事が起こり始め、それが過去に繋がっていく。

「主人公は女性である」と先程書いたが、男性作家がこのように女性を主人公にして一人称で小説を書くということはかなりの自信を持たなくては書けないだろうと思う。感情の機微や言葉の発し方など、男性とは違う面があるのは明らかであり、女性からどのように受け止められるだろうかと考えてしまった。女性作家が男性を主人公にするミステリー小説は、宮部みゆきの作品などで何度も読んでいるが、それ程の違和感を覚えない。逆の立場で女性が読んだ場合も同様なのだろうか。

さて物語の感想だが、終盤で一気に物語が展開する。そのあたりから読み応えがあり、読むのも止まらなくなってしまった。

(2019.10.28)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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☆ 購入日 2019年10月14日(月)
☆ 価格  1,870円
☆ 読了日 2019年10月22日(水)





【内容】(「BOOK」データベースより)

「このささやかな幸せを守るためなら、何でもする―」会社員の夫・秀嗣、五歳の息子・洸太、義母の治子と都内に暮らす折尾里佳子は、主婦業のかたわら、フリーの校閲者として自宅で仕事をこなす日々を送っていた。ある日、秀嗣がサプライズで一人の客を家に招く。その人物は、二十年以上行方知れずだった、秀嗣の兄・優平だという。現在は起業家で独身だと語る優平に対し、息子本人だと信用しない治子の態度もあり、里佳子は不信感を募らせる。しかし、秀嗣の一存で優平を居候させることに。それ以降、里佳子の周囲では不可解な出来事が多発する。

【著者略歴】

伊岡瞬(いおか・しゅん)
1960年東京生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しデビュー。著書に『145gの孤独』『瑠璃の雫』『教室に雨は降らない』『代償』『もしも俺たちが天使なら』『痣』『悪寒』『本性』『冷たい檻』など。




category: ミステリー(単行本)

thread: 読んだ本

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【書籍】「罪と祈り」 貫井 徳郎 (著)  

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出版社: 実業之日本社 (2019/9/5)



 単行本500ページ近いミステリー長編、今年いちばんの傑作だと思う。のめり込むように読まされてしまった。

 主人公は二組、亮輔と賢剛の青年二人が一組目。勤めていた会社が倒産し無職となった濱中亮輔と日本橋近隣を管轄する久松警察署の警察官である芦原賢剛は子供の頃から仲の良い親友である。この二人が主人公となるのが現代の物語。
 そして1980年代後半の時代を生きる二人の父親である濱中辰司と芦原智士が二組目。この父親同士も同年齢の親友である。亮輔の父辰司は警察官、賢剛の父智士は料理人、どちらも家族三人で暮らしている。当時二人の息子は4歳、その頃の記憶は朧げである。

 舞台は二人が父親時代から住む浅草を舞台に、「亮輔と賢剛」の部と、「辰司と智士」の部が章を分けて交互に描かれる。現代と30年前の時代が交互に描かれるわけだ。

 物語は現代から始まる。ある日亮輔の父、警察官の辰司が隅田川から水死体で発見される。久松署の管轄内であったため捜査員の一人として賢剛が担当する。当初は事故死と考えられたが、頭部に殴打された痕があるということから事件として扱われるが、亮輔はなぜ父が殺されなければならないのか想像もできない。
 一方、捜査を担当する親友賢剛の父智士は30年前に自殺して亡くなっている。30年の時を経て父親を亡くした二人。亮輔は、なぜ辰司は殺されなければならなかったのか、賢剛の父智士が自殺した原因は何だったのか、父の死をきっかけに自分にはわからなかった父の姿を求め始める。そして物語は30年前の時代背景を写し取りながら現代に向かって進んでいく。

 平成から令和に改元された今年、平成の30年間は同時時代だったのか、昭和から平成に変わる時代から描かれる本書を読んで改めてこの30年を振り返る機会を得た。
 様々な視点から平成という時代が語られているが、浮かび上がることができなかった時代ということは間違いないだろう。そのような中で改めてその浮かび上がれなかった原因の一端を本書を読むことで垣間見えるように思う。

 ミステリーという題材を使いながら現代に至る日本の時代を実に良く描いている作品である。
 ぜひ一読をお勧めする。

(2019.10.26)

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 おすすめ度 ★★★★★  
 読みやすさ ★★★★★
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☆ 購入日 2019年10月01日(火)
☆ 価格  1,870円
☆ 読了日 2019年10月13日(日)





著者略歴

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。
93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。



category: ミステリー(単行本)

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【書籍】「罪の轍」 奥田 英朗 (著)  

821



出版社: 新潮社 (2019/8/20)



 9月に読んだミステリー小説。始めて読んだ作家であるが、なかなか良かった。

 著者は1959年生まれ、コピーライターなどを経て作家に。2004年に「空中ブランコ」で直木賞を受賞している。当時はまだ受賞作を必ず読むということを習慣化していなかったので未読。今回の作品がこの作者との初対面である。

 私より3歳下のほぼ同世代であるが、この作品は1963年の東京オリンピックを翌年に控えた東京、そして北海道が舞台である。この年は日本の犯罪史上に残る凄惨な誘拐事件「吉展ちゃん事件」が発生した年であるが、本作品も子供の誘拐事件が含まれており、この事件をなぞらえている面がある。

 主人公の一人である犯人はなぜこのような人生を歩まざるを得なくなったのか、もう一方の主人公である刑事は何をこの犯人から感じたのか。
 時代背景も明瞭に描かれており、高度成長に向かっていく日本を最下層の目線から切り取ったとも言える本作品。ミステリーとしても傑作であり、社会派小説としても読む価値のある一冊である。

(2019.10.20)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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☆ 購入日 2019年09月12日(木)
☆ 価格  1,980円
☆ 読了日 2019年09月22日(日)





【内容】(「BOOK」データベースより)

昭和三十八年。北海道礼文島で暮らす漁師手伝いの青年、宇野寛治は、窃盗事件の捜査から逃れるために身ひとつで東京に向かう。東京に行きさえすれば、明るい未来が待っていると信じていたのだ。一方、警視庁捜査一課強行班係に所属する刑事・落合昌夫は、南千住で起きた強盗殺人事件の捜査中に、子供たちから「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの青年の噂を聞きつける―。オリンピック開催に沸く世間に取り残された孤独な魂の彷徨を、緻密な心理描写と圧倒的なリアリティーで描く傑作ミステリ。

【著者紹介】

1959年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て作家活動に入る。2002年『邪魔』で大藪春彦賞、04年『空中ブランコ』で直木賞、07年『家日和』で柴田錬三郎賞、09年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。






category: ミステリー(単行本)

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