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【書籍】 「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編/第2部 遷ろうメタファー編」 村上 春樹 (著)  

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  騎士団長殺し①_convert_20170411072728  騎士団長殺し②_convert_20170411081000 
【顕(あわわ)れるイデア編】      【遷(うつ)ろうメタファー編】




前回の記載から1ヶ月ほど経ってしまった。自分自身の定年退職という時期と重なり、様々な出来事や雑事に煩わされていたこともあるが、2月末から本書を読みはじめ、次に掲載するのはこの村上春樹の新作を記載しようと思っていたこともある。

先月中旬には一度読み終わっていたのだが、「1Q84」以来7年ぶりの長編であり、また内容的に実に圧倒される傑作との印象を私自身が持ったことからブログ掲載に至らず、そのまま現在再読している途中である。

そんな状態ではあるが、一度このブログには掲載しておかなければと思い記載することにした。

肖像画を書くことを生業としている主人公「私」はある日、「もうあなたとは暮らしていけない」と6年間結婚生活を送った妻から宣告され、その日から東北、北海道へ一人旅をする。その旅を終え、友人の父親である高名な画家が住んでいた小田原の山の上にある無人となった一軒家に一人居候する。そこで「免色(めんしき)」という名前の近くに住む男から肖像画の依頼を受け知り合うことをきっかけに様々な出来事に遭遇する。

その様々な出来事が本書の中心となる訳であるが、私は本作品について全体的な印象としてこれまでの村上作品にはなかった「温かさ」のようなものを感じ、読者へのメッセージも感じた。

これまで著者の作品に出てくる主人公は「クール」という言葉が適当ではないかもしれないが、やや冷たさを感じところがあった。そして作品の中の主人公だけでなく、作者自身が主人公を少し離れた距離に置き、読者に委ねるようなところがあったように思う。

今回の「騎士団長殺し」では、作者と主人公の距離はとても近く、そして寄り添っているように感じる。そのことが読者に本書との近さを感じさせ、いわば安心感を与えるような気がする。

もちろん、ストーリーは現実的でない内容を含んでいるし、作者独特の言い回しや表現があるため、そこにアレルギーを感じる読者もいるかもしれない。しかし私は、主人公「私」に対してとても親近感を覚え、最後まで読み進むことができた。

今回の作品について著者が様々なところでインタビューに答えていることもあり、作者の意図を作品以外から得られることもあるが、これまでの作品にない新たな村上春樹作品を感じることができる。この作品はこれまでの「村上ワールド」とは括れない作品なのではないだろうか。

いま再読しているが、私にとってさらに何度も読みたくなる作品となりそうである。

(2017.04.11)

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 おすすめ度 ★★★★★  
 読みやすさ ★★★★★
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category: 村上春樹

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