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2018年08月の記事一覧

【Kindle】「緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」 ハーバー・ビジネス・オンライン (編集), 田中 信一郎 (監修), 上西 充子 (監修)  

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出版社:扶桑社 (2018/8/9)



 2018年7月20日、会期末を迎えた国会にて安倍内閣に対する不信任決議案が提出され、最終日のこの日、野党第一党の党首、枝野幸男氏が議案提出の趣旨説明を行った。提出側の党首が趣旨説明を行うこと自体珍しいことではないのだが、今回の枝野氏の演説は、その時間が2時間43分という記録に残る1972年以降最長の演説であったことが話題となった。

 本書はその演説を忠実に書き起こしたものである。 この演説について少し疑問に思ったのは、国会とはいえ演説時間というのは時間制限がないということだ。これについては本書の解説にあったが、基本的に時間制限はないそうとのこと。ただ議長が制限できるとのことであるが、今回については事前の議運において「常識の範囲内」ということで具体的な時間制限を設けていなかったということである。

 もう一つ解説を読んで知ったことだが、今回の演説を枝野氏はノー原稿で行ったそうである。本書に写真が掲載されていたが、箇条書きのメモに基づいて行ったということである。演説自体は聞いていないので、本書を読む限りだが、若干の言い間違いなどはあるものの内容は趣旨に基づき首尾一貫している。

 具体的には不信任の理由7点について説明しているのであるが、議席にいる国会議員向けというよりも一般国民に向けたものとして理解できる内容であり、その姿勢も含めて注目に値する内容である。今の政治情勢を見て、安倍内閣を支持するかと問われれば私もさすがに支持するとは言えない。初期の期待感は薄れているし、経済環境も良くならない、各国との国際関係も自前でよくなっているものはないし、最近の行政の不祥事に至ってはまさに政府の怠慢、緊張感のなさが招いているといえるのではないか。また、今国会の審議について言えば、後ほど言及する枝野氏の理由7つのうち大半は賛成できるし、就中、参議院の議員定数を変えた公職選挙法改正案については自民党の党利党略であることは明白であると思う。

 そうかといって、今の野党が政府を担えるかと問われれば、かつての民主党のような勢いもないし、実力もない。そうなると選択肢は、与党は自民党で仕方がないが、国会が野党と拮抗していることと、野党にしっかりした主張ができるリーダーが存在することが条件だと思うがどうだろうか。

 その点、今回の枝野党首の演説は歯切れがよかった。 もちろん、全ての理由に賛成するわけではない。例えば、理由1の高度プロフェッショナル制度に関しては、いつまで労働時間だけを判断の尺度とすればよいのだろう。このままでは生産性は停滞していくだろうし、若者にとっての魅力ある職業選択の足かせになるのではないかと私は考えている。その点で、この問題に関する野党の主張には賛成できかねる。カジノ法案は何とも言えない。それ以外の理由に関しては概ね主張に賛成する。いまの安部政権の政権運営はそれくらい疑問符がつくのではないだろうか。

 もちろん先に挙げたように枝野氏率いる立憲民主党が政権をいま担えるかと言えばそんなことはないだろう。ましてやその政権を先の選挙で推挙したのはまさに国民の審判なのである。 八方ふさがりのようではあるが、今回のような枝野氏の演説を多くの人が聞き、読み、自らの姿勢を一度振り返ることがあれば将来のことを少しでも変えることが可能であるかもしれない。

 一人一人が自律することこそが現代を生きていくうえで大切なことであり、その自律とは現状の中の一つ一つのことを「自分ごと」として捉えていくことではないだろうか、と私は考える。

(2018.08.21)

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 読みやすさ ★★★★☆
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category: ビジネス書籍(電子書籍)

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【書籍】「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」 鴻上 尚史 (著)  

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出版社:講談社 (2017/11/14)



 不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか

昨日8月15日に読み終わった。終戦記念日である。 昨夜、NHKスペシャルにて「ノモンハン事件」の詳細な調査をした内容が放映されていた。 NHKニュース以外、あまりテレビを見ない私にとって本書を読み終わった日に、このような番組を見ることができたのは僥倖だったと言ってもオーバーではない。というのも本書とのオーバーラップを感じることができたからだ。
 本書も番組もスポットを当てているのは、命令者側と命令を受ける側の関係だ。特に日本にとって第二次世界大戦の敗戦は、命令者側の「曖昧な意思決定」にあるということだろう。

 本書の著者、鴻上尚史氏は演出家。数々の演劇を世に送り出しているが、メディアへの登場も多い方である。小説も書いている。本書で取り上げた「生還した特攻兵」をモデルにした小説も昨年刊行(「青空に飛ぶ」)されている。 そのモデルは、陸軍の第1回特攻隊パイロットである佐々木友次氏(故人)である。

 彼は9回の特攻出撃にもかかわらず生還している「不死身の特攻兵」であり、このタイトルを読むと「偶然」不死身で生還したように思われるが、著者は彼に対するインタビューから、「生還したのは彼の意志である」ことを確信し、陸軍参謀に「必ず死んてこい」と言われながら「命令に背き」生還を果たした特攻兵だと書き、この人の生涯を本にしたかったと言っている。

 我々はともすると戦争中の犠牲者を慰霊しながら美化し、特に「特攻隊」という特殊任務について自ら死を決意し国の為に戦った勇士として見ることがないだろうか。それは本当なのだろうかというのが著者の疑問である。
 そして、本書で書いているのはそのような先入観が「命令者側の論理」に基づいて「特攻は自然発生的に生まれた」と語り継がれたことによって形作られているということである。

 佐々木特攻兵がどのように生還したのかは本書に譲るとして、インタビュー内で語られたなぜ生還したのかという問いに対する彼の答えは「死ななくてもいいと思います。死ぬまで何度でも行って、爆弾を命中させます」というものだ。この論理を貫き通せたということ自体が奇跡に近いであろうことは想像に難くないが、このような個人の考え方が抹殺されていたのが戦争時代なのである。

 さて、現代に振り返って今はどうなのか。 著者は、本書から、自身の考え方を大切にすること、つまり自律という姿勢を伝えることと、リーダー(戦時の命令者側)のあるべき姿をリアリズムを語れることとして次のように言っている。

 少し長くなるが引用する。



 「・・・おそらく、「精神で撃ち落とす」と東條首相が答えた時、周りにいた多くの生徒も飛行学校関係者もハッとして感動したはずです。そうだ、気持ちだ、気概だ、気迫だ、それが一番大切なのだと。
  けれど精神を語るのは、リーダーとして一番安易な道です。  職場の上司も、学校の先生も、スポーツのコーチも、演劇の演出家もダメな人ほど「心構え」しか語りません。心構え、気迫、やる気は、もちろん大切ですが、それしか語れないということは、リーダーとして中身がないのです。
  本当に優れたリーダーはリアリズムを語ります。現状分析、今必要な技術、敵の状態、対応策などです。今何をすべきか、何が必要かを具体的に語れるのです。」


 本書は10年ほど前であれば日の目を見なかった書籍ではないだろうか。いまの時代はこれまでの常識が通じなくなっている時代だ。いまの時代だからこそ見直されるべき歴史なのだろうと思う。そして自身の主張をしっかりとアウトプットできる自律が現代人にとって大切だということを改めて感じさせられた書籍であった。

(2018.08.16)

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 おすすめ度 ★★★★★ 
 読みやすさ ★★★★☆
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category: 社会一般(新書)

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【AB】「トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業」 梶山 三郎 (著)  

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出版社:講談社 (2016/10/19)



 オーディオブックで先日聴き終わったもの。とても迫力があり、面白かった。

 本書の発売は2016年10月、発売当時、タイトルを見て興味が湧いたが、購入するまでには至らなかった。

 それ以降、あまり目にすることもなかったのだが、Amazonの「ほしいもの」リストに入れておいたので、気になっていた書籍の一つであった。 今年5月にたまたまオーディオブックの800円セールで販売されているのを見て、以前から気になっていたこともあり、通勤時に聞くのにちょうどよいかと購入したのが聞き始めのきっかけである。

 聞き始めても、本書のモデルが「トヨタ」であることはわかっていたが、どこまで真実を元にしたものかわからないまま聞いていた。しかし、後半になって、まさに現社長の豊田章夫氏をモデルにしていると思われる内容になってきて、俄然面白くなってきたこともあり、本書の背景事情を調べてみることにした。

 すると、本書の著者名になっている「梶原三郎」は実際の作家ではないということがわかった。発売は講談社であるのだから誰が書いたかはわかっているのであろうが、明かしていない。つまり本書はほぼ事実に基づいた内容を誰かが書き上げたもののようである。そのために、講談社としてもあまり積極的に宣伝していないにもかかわらずかなりの部数を売り上げているようだ。

 表面的には窺い知れない大企業の内幕を暴露したノンフィクションとして実に面白い。読むべき一冊と言える。

(2018.08.14)

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 おすすめ度 ★★★★★  
 読みやすさ ★★★★★
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category: ビジネス小説

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【書籍】「難題が飛び込む男 土光敏夫」 伊丹 敬之 (著)  

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出版社:日本経済新聞出版社 (2017/8/24)



昭和の時代を駆け抜け、最後には政府の臨時行政調査会という大きな課題に取り組まれた土光敏夫という人の評伝である。

この本は、ある方のブログで紹介され知ったのだが、著者が伊丹敬之氏であったことも興味を惹かれた理由の一つである。この伊丹氏がなぜ、いまこの土光氏の評伝を世に問うこととしたのか、その点に興味を持ったのである。

土光敏夫は、1896年(明治29年)生まれである。戦前に、石川島造船所に入社し、戦後、新たに発足した石川島芝浦タービンという会社の社長になる。それまでの手腕が発揮できるだけの小さな会社であった。その後、その親会社である石川島重工業社長となる。

そして1964年に社長を退任した翌年、請われて東芝の社長となる。7年間社長を在任し、会長に。そして経団連会長となる。6年間の在任の後、1981年に第二臨調の会長に就任し、1983年に最終答申をまとめ上げる。 1983年、何と87歳のときである。

著者は、この職歴の中の、石川島重工業社長、東芝社長、臨調会長の3つの時代をとらえて難題が飛び込み自身の仕事をした人としてまとめている。

ただ、その戦果は2勝1分けとしている。1分けは東芝社長時代のことである。1分けの理由は社長在任時の前半は成果が出たものの、後半はだめだったとの理由からである。 

それらの就任時にどのように取り組んできたかを丁寧にまとめ上げ、なぜこれほどまでの難題に対して成果を上げられ、また東芝では成果を上げ続けることができなかったのかについて分析している。

著者は、二勝に至った理由を、「現場の達人」、「凛とした背中」という土光の経営者としての際立った二つの長所をキーワードとして上げ、一分けの理由を、「経営のスタイル」と「大欲」という二つのキーワードでまとめている。

このうち「経営スタイル」についてだけここでは紹介したい。
「経営スタイル」には「直接話法の経営」と「間接話法の経営」がある。二勝した際は、「直接話法」の経営スタイルが効果を発揮し、東芝のような大組織においては最初は良かったが、後半では効果を発揮させることができなくなってしまったと著者は論じている。

現代における経営においても、いやこのような時代だからこそ、「直接話法の経営」と「間接話法の経営」のバランスが重要だというのが著者の結論かもしれない。

(2018.08.13)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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category: ビジネス書籍

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【Kindle】「送り火」 高橋 弘希 (著)  

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出版社:文藝春秋 (2018/7/17)



今年度上期の芥川賞受賞作。キンドル版で読んだ。

主人公の中学三年の歩が父親の転勤に伴い、東北の田舎町に家族とともに移り住む。その中学校は三年生が全員で12名の小さな中学校で、来年は統合され廃校になる予定とのこと。4月の新学期に合わせて転入する主人公は、その学校の男子生徒5名のグループと行動を共にするようになる。

何でもない日常、中学三年生のよくある日常を精緻な文体で描いていて、読んでいて「きれいな文章だな」という印象をもったくらいである。 5人の仲間との関係、出来事、そして父、母とのやりとり、そんな日常が描かれながら、最後の終章でまったくそれまでとは異なる非日常が描かれて小説が終わる。

この終わり方は何なんだろう。小説を読めばそのストーリーを把握しようとするのは読者として当然であるが、読み終わってみて、混乱している自分がいる。この混乱は作者が意図したものなのだろう。しかし、この混乱の意図とはいったい何だ。読解力がないのか、よくわからない。

本日発売の「文芸春秋」に全文掲載の広告に、選者の一人小川洋子氏の選評「小説でしかたどり着けない場所」と掲載されているが、私にはそこまで読み切れなかった。読まれた方の感想を聞きたいですね。

(2018.08.10)

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 おすすめ度 ★★★☆☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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category: 文学一般

tag: Kindle芥川賞  文芸春秋 
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【Kindle】「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井 紀子 (著)  

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出版社:東洋経済新報社 (2018/2/2)



著者は数学者、2011年からプロジェクトとしてAIロボットで東大合格を目指すというプロジェクトをスタートさせ、その後、2015年からは中学生の読解力をテストするプロジェクトを起業している。

本書は、その両プロジェクトを概説しながら、現代、そして将来に向けた懸念を示している。

前半のAIについては、「AIが人類の仕事全てを奪うことはありえない」と断定しながらも、東大ロボットが東大に合格することはあり得ないが、いわゆるMARCHと呼ばれている私大クラスには十分合格できるだけのところまでには至ったことを説明し、その範囲のホワイトカラーの仕事は間違いなくAIに取り替わると予想している。なかなか怖いことである。

そのような中、日本人はそれに耐えられるのかという視点から若者を見てみると、「学生に読解力がなくなっている」という声をよく聞くようになり、著者が中心となって読解力を判断するテストを実施してみたところ、驚くべきことが明らかになる。

これは例題が出ているので、私自身も読んでいてそんなばかなと思ったくらいである。

---  例 題 ------------------- 

「アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない」  

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢から一つ選びなさい。  

セルロースは(     )と形が違う  

①デンプン  ②アミラーゼ  ③グルコース  ④酵素

回答の確認はこちらから
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20180211-00081509/

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いずれにしても、AIには代替えされない人類にしかできない仕事をしていくためには、少なくともAIが苦手とする教科書を読解する能力は備えていなければならないという結論である。 著者はそのため中学1年で行うテストを提供する企業を立ち上げている。そしてテストをするだけではなく、その生徒を教育していく学校、家庭の体制を整えていかなければならないと言っている。

現状の中で具体的な一石を投じている有意義な一冊だと思う。

(2018.08.09)

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 おすすめ度 ★★★★★ 
 読みやすさ ★★★★☆
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category: ビジネス書籍

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janre: 本・雑誌

tag: Kindle  電子書籍  AI   
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【Kindle】「充たされざる者」 カズオ・イシグロ (著), 古賀林 幸 (著, 翻訳)  

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充たされざるもの_convert_20180805080945

出版社:早川書房 (2007/5/1)



発表順にこの作者の長編をすべて読もうと思い、本書が4冊目。

文庫本で1000ページに及ぶ大作を読み終わっての感想は、「いったいこの小説は何なんだ」というもの。シュールな小説、カフカ的な小説などと表現することもできるのだろうが、これまでの3作とは全く異なる作風である。

訳者の解説を読むと著者自身もそれまでの作風を変えたものを意図していたことが書かれているが、どうもしっくりこない。これまでの3作に出てきた主人公の「独善性」はこの作品にも踏襲されているものの、極端なストーリーの中で架空のこととしてそれが埋もれてしまっているような気がする。

なお、この後に、続けて5作目、6作目の長編を読み始めたが、どちらも途中で断念。

わたしたちが孤児だったころ_convert_20180805081003  わたしを離さないで_convert_20180805081018

(2018.08.05)

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 おすすめ度 ★★☆☆☆  
 読みやすさ ★★★☆☆
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category: 海外小説(Kindle)

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