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【書籍】「背高泡立草【第162回 芥川賞受賞作】」 古川 真人 (著)  

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出版社: 集英社 (2020/1/24)



 1月に発表された第162回芥川賞受賞作、恒例により雑誌「文藝春秋」3月号に掲載されたものを読んだ。

  ここ数年芥川受賞作は書籍を買わずに文春の掲載号で読んでいるが、そうしてからと言うわけではないのだが、面白くない作品が多いような気がする。
 今回の受賞作も同様の印象で、読了後、何故、この作品が芥川賞受賞作品なのだろうと思ってしまった。

 物語は、九州の島嶼を舞台にして三代の家族が実家で使わなくなっている納屋の草刈りをする日常を描いてその間に交わされる会話などを中心とした物語が中心となっているのだが、その各章の間に全く別の物語が挟まれている。途中に挟まれる物語も読んでいくと同じ島嶼を舞台にしているようなので、この土地を舞台にして時の流れの中の人間模様を描こうとしているだろう。
 ところがその挟まれる物語も唐突であり、よく注意して読んでいないと誰のことなのか、どこの話なのか分からなくなってしまう。また土地の方言を使っていることからも読みづらい面がある。私自身の読み方の問題なのだろうと思いながら読み終わった。
 ただ、読み終わってから今回の選考委員の選評を読んだのだが、はっきりとこの作品を推している選者は見つからなかった。むしろ「該当作なし」とすることに躊躇するところから最終的に選ばれたと言う印象を持った。さもありなん。そう言うことかと合点が行った次第。

 過去との比較はできないかもしれないが、私のか過去の印象は、芥川賞と言えば、村上龍の「限りなく透明なブルー」を例に上げるまでもなく、全くの新人が衝撃的なデビューをするイメージが強かった。その後も様々な受賞者が輩出されたが、処女作で受賞している作家はその後に活躍していることが多いように思う。
 確かに新人発掘の賞ということで、当該作家の過去の候補作を受賞作と引き合わせて選評することも必要かもしれないが、我々一般読者はたいていの場合、その作家の過去の候補作は読んでいないことの方が多く、受賞作を楽しみに読むのではないだろうか。その点、最近の受賞作では又吉直樹氏の「火花」は鮮烈だったかもしれない。

 いずれにしても書籍を購入して読もうと思わなくなってしまった芥川賞受賞作。今後も文藝春秋で読み、良い作品と出会えたら応援していくために書籍を買う、こんなスタンスで眺めていきたい。

(2020.02.27)

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 おすすめ度 ★★★★☆  
 読みやすさ ★★★★☆
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☆ 購入日 2020年02月18日(火)
☆ 価格  1,540円(Kindle版 1,540円)
☆ 読了日 2020年02月25日(火)



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内容紹介
【第162回 芥川賞受賞作】

草は刈らねばならない。そこに埋もれているのは、納屋だけではないから。
記憶と歴史が結びついた、著者新境地。

大村奈美は、母の実家・吉川家の納屋の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに福岡から長崎の島に向かう。吉川家には<古か家>と<新しい方の家>があるが、祖母が亡くなり、いずれも空き家になっていた。奈美は二つの家に関して、伯父や祖母の姉に話を聞く。吉川家は<新しい方の家>が建っている場所で戦前は酒屋をしていたが、戦中に統制が厳しくなって廃業し、満州に行く同じ集落の者から家を買って移り住んだという。それが<古か家>だった。島にはいつの時代も、海の向こうに出ていく者や、海からやってくる者があった。江戸時代には捕鯨が盛んで蝦夷でも漁をした者がおり、戦後には故郷の朝鮮に帰ろうとして船が難破し島の漁師に救助された人々がいた。時代が下って、カヌーに乗って鹿児島からやってきたという少年が現れたこともあった。草に埋もれた納屋を見ながら奈美は、吉川の者たちと二つの家に流れた時間、これから流れるだろう時間を思うのだった。


category: 小説(単行本)

thread: 読書メモ

janre: 本・雑誌

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